澎湖島に中国語留学する人は

澎湖島の真っ青な海や空

切り立った岩

漁民が創り上げた文化を愛して帰ります。

大抵の日本人にとって澎湖島というのは聞いた事もない地名で、ここに来た人はきわめてまれに違いありません。が、それ程秘境という訳でもありません。台北、台中、台南、高雄から毎日幾便もの飛行機が飛んでいますし、台南、嘉木、高雄からフェリーや双胴の高速船が就航しているからです。しかし旅行社は複雑なそうしたツアーを組むのを嫌いますし、ここに案内しなくても台湾には沢山見所がありますから、そちらを紹介していたと言うことです。その上、今まであまり、ガイドブックやパンフレットのようなものも出ていませんでしたから、需要が喚起されるという事もありませんでした。それで、ここに来る日本人の殆どは、インターネットで阿甘語言中文科のHPを見て、澎湖島で中国語を学ぶのも良いなぁと言う事でやってきた人たちです。かなりの期待と不安を抱いてやってくるに違いありませんが、ここでの印象をお聞きしますと、多くの方が「台湾でありながら、台湾でない所。」という哲学めいた感想を述べられます。多分人口が少ないから、台湾のようにごみごみしていないので、ちょっとすっきりした感じがあるのだと思います。そして「こんなに大きな町だとは思いませんでした。」と口を揃えます。島とはいえ6万人くらいの人口がありますし、県庁所在地なのでおおくの箱物があり、施設はかなり充実しています。一応周りの町村の中心地なので、商業活動もかなり活発です。東京から来たある人は、東京より賑やかだと言っていました。東京にもいろいろな所があるでしょうからね。ここは地形が入り組んでいるために海岸線がとても長く、それはそれは様々な姿を見せてくれるところです。そしてここを一層興味深い物としているのは、ここで人々が魚を捕りながら、貝を拾いながら生活してきた地であるという事です。彼らの生活と澎湖島の自然とが一体となって、ここを訪れる人々に忘れられない印象を刻みつけるのかも知れません。崩れた廃墟がそのまま残され隣に新しい家が建ち並ぶところなどはここを置いてありますまい。台湾本島ではとうの昔になくなってしまった、福建様式の家が無造作に残されているのです。日本人なら藁葺きの家を見て、その当時を知る人であれば懐かしさがこみ上げてくる物ですが、この島の崩れた廃墟は、台湾の人にとって心の故郷のようなものになっているのかも知れません。中国語の勉強で知恵熱の出ている学生達を、澎湖島の自然とそこに住む人々が優しく受け止めて下さっています。