澎湖島の風 珊瑚の石垣

石垣というと石垣島を思い浮かべる方もおられるに違いありませんが、本当の石垣島は澎湖島なのです。強風から畑の作物を守るために周りをズラリと珊瑚の石垣で囲んだ風景は澎湖島の象徴ともいえるものです。 昔は家もこの珊瑚のブロックを使って造ったようですが、現在はほとんどが鉄筋と煉瓦とコンクリートを使っています。


  この珊瑚の壁ですが、畑の石垣は土台こそ2列、3列ですが上部は皆一重なので、向こうが透けて見えます。単に積み重ねただけで、接着剤を使って固定しているのでもなく、倒壊防止の杭が打ち込まれているわけでもないのに、背の丈くらいに積み上げているので、非常に危なっかしく感じます。しかし見かけとは裏腹にとても堅固なので、自分の予感がはずれたそのはずれ具合に、思わず納得してしまう程です。なるほど何もいらないんだなと・・。珊瑚を置くだけでしっかりと隣の珊瑚とくっつき合って、風や地震でもビクともしない石垣となっているのです。

  この石垣を堅牢なものにしているもう一つの理由として、それぞれの珊瑚のブロックが、天然である故に、すべて形が違っているということです。つまり珊瑚の固まりの所々に穴が空いていることも関係しています。もしも一寸の隙間もない壁であったら、澎湖島の強い風をまともに受けて、やがて倒されてしまうでしょうが、穴が空いているために、風がそこを通り抜けてゆくことにより、風の力をそいでしまうようです。

  海の中では赤、青、黄色など鮮やかで、波に体を任せてゆらゆらとしていたであろう珊瑚が、死ぬと石のように堅くなるというのは不思議なものです。そうした珊瑚が波打ち際に打ち上げられたり、島自体が隆起して、珊瑚が表面に現れたものを運んできたのだと思いますが、それにしても石垣として、或いは古い家の壁の骨材として使われている珊瑚は莫大な量なので、さぞかしこの付近では珊瑚が繁殖しているのではないかと想像させてくれます。で、良く砂浜を見てみるとそれは珊瑚の崩れたものから出来上がっていました。なるほどそれで、波が勢いよく押し寄せて、波打ち際の砂をかき回しても、濁った感じがしませんでした。澎湖島の海がきれいで透明感がある理由はここにありと、今更ながら気が付きましたね。

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